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菖蒲 敬久; 城 鮎美*; 吉田 裕*
材料, 69(4), p.343 - 347, 2020/04
金属材料の疲労評価において転位密度は非常に重要な物理量である。一般的に転位密度は走査型電子顕微鏡で評価されているが、最近、X線回折のプロファイルの幅から転位密度を導出する方法が提案されている。本研究では当該技術を放射光に適用したので報告する。オーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lを引張ながら2次元検出器により5つの回折プロファイルを取得し、ラインプロファイル解析を実施した。その結果、転位密度は塑性変形後急激に増加し、その値は走査型電子顕微鏡で別途測定した結果とかなり良い一致を示した。今後、局所からの転位密度をその場計測し、ラインプロファイル解析が疲労破壊の機構解明に貢献するものと期待している。
佐藤 成男*; 小貫 祐介*; 菖蒲 敬久; 城 鮎美*; 田代 均*; 轟 秀和*; 鈴木 茂*
金属, 86(8), p.654 - 660, 2016/08
鉄鋼材料に代表される金属のミクロ組織に対し、放射光、中性子線の量子ビームを用いた新たなアプローチが可能になる。放射光の高輝度特性を活かしたマイクロ領域測定は高温その場測定により、構造内部の転位の分布、転位の回復現象の追跡が可能となる。また、中性子線はバルク平均情報の特徴を活かすことで、複相鋼の強化機構メカニズムが詳細に考察できる。これら解析事例を原理とともに紹介している。
熊谷 正芳*; 秋田 貢一; 今福 宗行*; 大谷 眞一*
Advanced Materials Research, 996, p.39 - 44, 2014/08
被引用回数:6 パーセンタイル:93.33(Engineering, Mechanical)ショットピーニング(SP)およびレーザーピーニング(LP)を施工したオーステナイトステンレス鋼の微視組織をX線ラインプロファイル解析法によって調査した。SP、LPの両試験片ともほぼ同様の残留応力深さ分布を有するが、微視組織はピーニング施工表面のみならず、表面から数ミクロン深さにおいても微視組織は異なっていた。転位密度はSP試験片のほうがLP試験片よりも高く、また、結晶子サイズはSPのほうがLPよりも小さかった。
菖蒲 敬久; 城 鮎美*
no journal, ,
金属材料を変形させると転位が発生し、これが起点となり構造物の疲労破壊が起こる。本研究では、回折法によるラインプロファイルを利用した解析法による転位密度評価を負荷中の鉄鋼材料に対して実施し、その信頼性を評価した。実験は、SPring-8、BL22XUを用いて実施した。負荷した状態のSUS316L鉄鋼材料からの複数の解説プロファイルを測定し、ラインプロファイル解析により転位密度を算出した結果、負荷の小さい弾性変形領域では、もともと導入されている転位密度がほぼ同じ量で発生しているのに対して、負荷の大きい塑性変形領域では転位密度がほぼ単調増加していることを明らかにした。
菖蒲 敬久; 安田 良*; 城 鮎美*; 吉田 裕*; 徳田 奨*; 柴野 純一*; 熊谷 正芳*
no journal, ,
金属材料を変形させると転位が発生し、これが起点となり構造物の疲労破壊が起こる。本研究では、破断した0.3mm厚SUS316L試験片に対して高エネルギー放射光X線回折法で得られたラインプロファイルを利用した解析法により鉄鋼材料中の転位密度評価を行い、疲労破壊と転位密度との関係を評価した。解析の結果、破断部に近づくにつれて転位密度が急激に増加することを明らかにした。加えて破断部に基本構造であるfcc構造の中にbcc構造が出現していることを明らかにした。鉄鋼材料では転位密度の増加は材料強度の増加に深くかかわり、材料強度はbcc構造のほうがfcc構造より高いことが知られている。つまり、破断部では転位密度の急激な増加により構造が変化したと考えられる。